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>>こだわりの日本語
「細かな点にまで気を使って価値を追求すること」という意味合いで使われているこだわり。でも、本来は「ささいなことを必要以上に気にすること」という意味なのです。こうした昨今の言葉の変わりようなどについて、このページでは少しだけこだわって考察していきます。
[第2回] 「みたいな」を「みたく」に変えるのは、言いやすさのせい?
ことばの問題
Q
.次の例文のうち、正しいのはどちらでしょうか?
A 「後ほどFAXを送らせていただきます」
B 「後ほどFAXを送らさせていただきます」
※答えはこのページの下に掲載しています。
変な言い回しをするのは、必ずしも言いやすいからとは限りません。間違いにもそれなりの筋道、いわば「誤用の論理」があって本来的には正しくない言い回しが生まれるのです。もちろん、専門家のわたしのように「五段活用と下一段活用が云々(うんぬん)」などと、誰もが考えているわけではないでしょう。それでも、「こう言えるのであれば、この言い方もOKだろう」といった、なんとはなしの類推で言葉の使い方を誤ってしまうのではないかと思います。
「夢みたいだ」を「夢みたい」と言うように、「みたいだ」の「だ」を取る言い方があります。この「みたい」が形容詞と同じ形をしていることから、例えば「赤い」を「赤く」と活用させるようにして、「みたく」という言い回しが生まれたのでしょう。同様の例では、「きれいになった」と言うべきところを「きれくなった」、「違っていて」を「違くて」などと言っている人も見受けられます。これらも「きれい」や「違い」の「い」を形容詞の活用語尾のように考えて活用させてしまったのだと思います。
「違くて」などに違和感を覚える人でも、「みたく」を使っている人は多いのではないでしょうか。本来的には間違った言い回しですが、高齢の方も含め、現在ではかなり一般的になっているようです。
一方で、若者を中心に広まりつつありますが、まだ多くの人が違和感を持つのが「ら抜き言葉」でしょう。「ら抜き」が生まれたのは、「取る/取れる」「断る/断れる」など、一見「ら抜き」のような可能動詞がもともとあることが大きな要因だと考えられます。しかも、「切る」と「着る」、「練る」と「寝る」のように、同音でも「ら抜き」になる語とそうでない語がある。「切られる」「練られる」ではなく「切れる」「練れる」と言うのだから、「着られる」「寝られる」も「着れる」「寝れる」と言って問題ないだろう。そうした理屈のもとに「ら抜き」が生まれたのでしょう。
「みたく」や「ら抜き言葉」などの誤用の論理をたどると、専門家として感心することもあります。とはいえ、好ましい言い方ではありませんし、「ら抜き言葉」などが気になる人は大勢いるでしょう。そうした言葉を気にする人の前では、おかしな言い回しをしないほうが賢明です。(談)
ことばの問題
A.
正解は、Aの「後ほどFAXを送らせていただきます」。
【解説】Bの「送らさせて」のような言い方を「さ入れ言葉」と言います。最近ではよく耳にしますが、文法的には間違った言い方です。
使役を表す助動詞には「せる」と「させる」があって、「送る」「書く」「話す」などには「せる」の方が付きます。ただ、「送らせる」では使役の意味が弱いという気持ちから、「送らさせて」のように「させる」を付けるのではないかと思います。
きたはらやすお■筑波大学名誉教授(前学長)。独立行政法人日本学生支援機構理事長。多くの辞典の編纂(へんさん)に携わっているほか、「問題な日本語」(大修館書店)などの編著書も多数。
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