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「細かな点にまで気を使って価値を追求すること」という意味合いで使われているこだわり。でも、本来は「ささいなことを必要以上に気にすること」という意味なのです。こうした昨今の言葉の変わりようなどについて、このページでは少しだけこだわって考察していきます。
[第6回] 「おお地震」か「だい地震」か、ゆれる読み問題
ことばの問題
Q
.次の漢字の読み仮名のうち、正しいのはどちらでしょうか?
A 「由緒」→ ゆいしょ
B 「端緒」→ たんちょ
※答えはこのページの下に掲載しています。
人数は、「一人(いちにん)前」などの言葉もありますが、2人までは「ひとり」「ふたり」と和語で言うのが基本で、3人以上は音読みになります。ですから、どんなに映画通を気取っていても、「ななにんの侍」や「荒野のななにん」などと言ってしまっては形無しです。しかし、武芸などの段位「7段」は、本来は「しちだん」ですが、「ななだん」のほうが通りがよいようです。
そもそも漢字の熟語は、音読みか訓読みで統一するのが基本ですが、例外も多々あります。「湯桶」は、訓読みで統一すれば「ゆおけ」、音読みで統一すれば「とうとう」ですが、「ゆとう」と読みます。このことから、二字熟語の上の字を訓読みし、下の字を音読みする読み方を「湯桶(ゆとう)読み」と言い、その逆を「重箱(じゅうばこ)読み」と言います。「湯桶読み」や「重箱読み」は、本来なら避けなければならないものです。ただし、「湯桶読み」も「重箱読み」も昔からある言葉ですし、そういった名称があること自体、それだけ音読みと訓読みの入り交じった読みをする熟語が多いことの証しです。
音読みと訓読みが入り交じるのは、二字熟語だけではありません。音読みの熟語の上に「大」が付く場合、「だい」と読むのが原則です。でも、「大掃除」や「大所帯」といった「おお」と読む例外もたくさんあります。では、「大地震」はというと、原則に従えば「だいじしん」ですが、古くは「おおじしん」が一般的だったのです。現在は「だいじしん」が増え、ふたつの読みが併存しています。
また、間違った読みが定着してしまった代表的な例に「新しい」があります。これは「惜しい」を意味する古語「あたら」と混同され、それがいつしか「あたらしい」という読みとして定着したものです。ただし、現代でも「気持ちも新たに」などと言うように、形容動詞などには本来的な「あらた」という読みが残っています。
最近は、「雰囲気」を「ふいんき」と誤読する人が増えています。わたしもそうですし、まだ違和感を覚える人も多いでしょう。ただ、読みに限らず、言葉は常にゆれ動き、変化する性質を持っています。誠に遺憾ながら、いつの日か「昔は『雰囲気』を『ふんいき』と読んでいました」などと言われる日が来るかもしれません。(談)
ことばの問題
A.
正解は、Aの「ゆいしょ」。
【解説】「緒」は本来的には「しょ」が正しい読みです。ただし、「由緒」は「ゆいしょ」としか読みませんが、「端緒」を「たんちょ」、「情緒(じょうしょ)」を「じょうちょ」と読む人も多く、一概に誤りだとは言い難いほどに定着しています。
誤読は「へん」や「つくり」から想像して生まれることが一般的です。「緒」に関しては、「猪」「楮」「箸」などの「者」をつくりとする漢字が「ちょ」と読まれることへの類推がはたらいたものでしょうか。
きたはらやすお■筑波大学名誉教授(前学長)。独立行政法人日本学生支援機構理事長。多くの辞典の編纂(へんさん)に携わっているほか、「問題な日本語」(大修館書店)などの編著書も多数。
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