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「細かな点にまで気を使って価値を追求すること」という意味合いで使われているこだわり。でも、本来は「ささいなことを必要以上に気にすること」という意味なのです。こうした昨今の言葉の変わりようなどについて、このページでは少しだけこだわって考察していきます。
[第13回] 「間違ってるっぽい」という言い方は、「間違いっぽい」?
ことばの問題

Q.次のうち、正しいのはどちらでしょうか?

A 「答えを間違う」
B 「答えを間違える」

※答えはこのページの下に掲載しています。

 標題の「間違ってるっぽい」という言い方に抵抗を感じる人は多いでしょう。ただ、「間違いっぽい」となると、それほど違和感を抱かない人がいるかもしれません。

 そもそも「っぽい」は、さまざまな言葉に付いて形容詞を作る接尾語です。「子どもっぽい」「水っぽい」などと名詞に付いた場合には、その名詞に近い性質や印象があることを表します。また、「飽きっぽい」「ほれっぽい」などと動詞の連用形に付いたり、「安っぽい」「哀れっぽい」などと形容詞や形容動詞の語幹に付いたりして、そうした傾向や性質があることを表します。

 ただし、本来は「っぽい」が付く形容詞や形容動詞の語幹、動詞の連用形はごくわずかでした。また、名詞に付くとはいっても、何にでも付くわけではなく、特に外来語や固有名詞に付く例はほとんどなかったのです。ところがここ最近は「っぽい」の用法が拡大の一途をたどっており、「間違ってるっぽい」のような耳障りな言葉も数多く耳にするようになりました。

 この「っぽい」の使用が広がっている理由の一つとして考えられるのが、言葉を正確に使い分けないことにあります。本来であれば「〜のような(だ)」「〜らしい」「〜くさい」などの言葉でもって使い分けるべきところを、「っぽい」の一語で間に合わせてしまっているのです。標題も「間違ってるっぽい」ではなく「間違ってるようだ」、「間違いっぽい」ではなく「間違いらしい」というべきでしょう。ただし、「間違ってるっぽい」のような動詞の終止形に付くなどの明らかな誤用は別として、正誤の判断の付きかねる例が多々あるのも事実です。わたしは一介の言語学者であり、個人の好悪にまで口出しする権限はありません。ですから、「『春めいた陽気』より『春っぽい陽気』という言い方のほうが今っぽい」などと言われると閉口せざるを得ないのです。

 とはいえ、何でもかんでも「っぽい」で済ませると、微妙なニュアンスが伝わらないことがありますし、自身の語彙(ごい)が貧相であることを露呈しかねません。「その言い方が気になるっぽい人も、たくさんいるっぽい」。こう述べると、いかに「っぽい」の乱発が「バカっぽい」というか、「荒っぽい」ことであるか一目瞭然(りょうぜん)でしょう。(談)

ことばの問題

A.正解は、Bの「答えを間違える」。

【解説】「間違う」は本来は、自動詞(動作や作用がほかにおよばない動詞。⇔他動詞)で、多く「間違った(っている)答え」のように「〜った」「〜ている」の形で使います。
 ただし、「間違える」と同じように、「間違う」を他動詞として使う傾向も最近では見られます。ですから、Aの「答えを間違う」も絶対に「間違い」だと言い切るのは酷かもしれません。しかし、Bの「答えを間違える」のほうが、まだまだ一般的だと言えるでしょう。


きたはらやすお■筑波大学名誉教授(前学長)。独立行政法人日本学生支援機構理事長。多くの辞典の編纂(へんさん)に携わっているほか、「問題な日本語」(大修館書店)などの編著書も多数。

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